故人を悼む 弔奏・平曲語り 古澤月心作
祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、生者必衰の理を現す。
人の世は久しからず、唯、春の夜の夢の如し。
古来より、長生不老の術を願い、蓬莱不死の薬を尋ぬるも、未だ、そを見つけたる例し 無し。
天運尽きぬれば、人の力に叶うべしとも見えざりけり。悲想の八萬劫、必滅の憂いに逢う。天人五衰の悲しみは、人間にも候らひけるものかな。此の世は幻の間の営み、既に流転無窮なり。転生輪廻、車輪廻るが如し。
此度、君が突然の死に合い、今、家族兄弟親族友人、棺に手を当て、哀憐の滂沱の涙を拭わんや。
唯、願わくは、君、安らかに眠らんことを祈るのみ。