2014年11月29日土曜日

琵琶の歴史2:第一話 ビワ・フロム・シルクロード①~プロローグ


琵琶は日本の伝統楽器として日本の芸能文化にも大きな役割を果たしていますが、その琵琶の先祖(リュート)は、BC2500年頃、遠くインド・ペルシャに起源を発します。シルクロードを経て、東に伝わったものが琵琶となり、西に別れて行ったものが、ギターに進化したと言われています。


琵琶は、西域地方(胡国)のシルクロードに点在する諸処のオアシス国家に飛び石づたいに伝わり、その国、その国の民族文化を取り込みながら仏教とともに独自の音楽として育くまれました。

その西域音楽が、古代中国、秦・漢時代に、隊商や、西域派遣軍などと共に、中国に入ってきました。優れた音楽家たちもやってきました。北魏武帝の時代になりますと、「胡声大いに起こり、中国固有の雅楽は地に落ちる」という有様で西域楽の人気は大変なものでした。

日本には、昔“西洋かぶれ”と言う言葉がありましたが、当時の中国にも、“西域かぶれ”があったのでしょうか。この西域楽(胡楽)は、唐の時代に宮廷樂(俗楽)に組み込まれ、古来の音楽(例えば法曲)とも溶け合い、濾過され、一層磨き(唐化)をかけられて玄宗皇帝時代に大唐の音楽として完成されていきました。その一部が、奈良平安時代の八世紀以降、遣唐使船に乗って、我が国にもたらされたのです。

奈良の正倉院は、シルクロードの終着駅と言われていますが、はるか西域のシルクロードを辿ることは、とりもなおさず、日本民族の精神文化あるいは造形文化の源流に遡ることでもあります。